「ニュース」TOPIX改革 株価指数見直しが日本企業を変える?【経済コラム】

日本ニュース
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2026年08月21日
「株価を上げていかないとTOPIXに残れない」
東証プライム市場に上場する専門商社のトップはTOPIX(東証株価指数)改革で構成銘柄が大幅に見直されることに危機感をあらわにしました。
構成銘柄から外れると自社の経営に影響を与えかねないからです。
今回の改革の内容や狙い、企業の対応に迫ります。
(経済部記者 牧野慎太朗)
東証株価指数=TOPIXは、日経平均株価と並ぶ日本を代表する株価指数として定着しています。しかし、世界の投資家も参考にする指数としては課題もあると指摘されています。
TOPIXは、東証最上位のプライム市場に上場する全ての銘柄が組み入れられ、現在は約1700社で構成されています。
アメリカの「ダウ平均株価」の30社、「S&P500」の500社、イギリスの「FTSE100」の100社と比べても突出して多く、機関投資家からは「規模の小さい企業も指数に残っていて運用に活用しづらい」という声が上がっていました。
また、一度TOPIXに入れば、業績や株価が悪くても除外されることがないため、企業に経営努力を促すインセンティブが働きづらいといった点も挙げられています。
そこで、東証は銘柄を大幅に見直すことになりました。
特徴的なのが、「浮動株時価総額」を基準とすることです。
「浮動株時価総額」とは、親会社や創業家などの持ち株を除いた、市場で売買される株式をもとに算出した時価総額のことです。指数に市場での取引実態をより反映させやすくするのが狙いです。
また、プライムかスタンダードかグロースかという市場区分を問わず、構成銘柄を毎年入れ替えることも特徴です。
TOPIXに残りたい企業は、株価を上げるなど市場からの評価を高めなければなりません。
注目される初回の入れ替えは、ことし10月。8月の平均株価をもとにした浮動株時価総額で決まります。
上位97%が採用、下位3%が不採用です。
ただ、銘柄数ベースで「上位97%」を選ぶわけではなく、3市場の浮動株時価総額の合計の上位97%に入っている銘柄を選ぶという仕組みです。
その結果、ことし3月末時点の東証の試算では、採用銘柄数は、現在の約1700社から約1050社へと600社以上減るとされました。
銘柄数が大きく減る理由は、“大型株”の存在です。
市場には、「トヨタ自動車」や「三菱UFJフィナンシャル・グループ」など浮動株時価総額が際だって高い銘柄があり、上位100社だけで市場全体の7割を占めています。このため、浮動株時価総額が比較的低い銘柄がTOPIXから押し出されていく形になるのです。
また、仮に一部の大型株の株価が上がると、上位97%という「採用ライン」が引き上がり、銘柄数はさらに少なくなる可能性もあります。
いま上場企業は、TOPIX改革への対応を迫られています。
創業73年の計測機器の専門商社「東陽テクニカ」は、1990年に旧東証一部に上場して以降、プライム市場と名称が変わった今に至るまで、TOPIXに採用され続けてきました。
しかし、銘柄の入れ替えが行われることが明らかになった2年前、このままでは構成銘柄から外れる可能性があることに気づきました。
会社が試算したところ、当時1500円台だった株価を2000円以上に引き上げることが必要となることが分かりました。
そこで、会社が打ち出したのが、成長が期待できる「量子事業」です。
量子コンピューターを扱う海外のメーカーと販売契約を結び、日本の大学や企業などへの導入を進める方針を投資家にアピールしました。
政府が掲げる「戦略17分野」の1つに量子技術が位置づけられたことも追い風になり、ことし5月には株価が一時20年ぶりの高値となる2232円まで上昇しました。
東陽テクニカ 高野俊也社長「TOPIXに残ることは成長企業であることを示す1つのステータスだと捉えている。政府の戦略に合致した事業展開や、株主優待制度の導入など一連の取り組みが評価された」
ここまで必死になるのは、もちろん「ステータス」だけが理由ではありません。企業の経営にとって大きな影響が出かねないからです。
実は、TOPIXには約160兆円にのぼる巨額の連動資産があります。
採用されている企業の株式には、TOPIXに連動する投資信託や年金などを運用する会社から継続的な買いが入ります。逆に採用されなくなった企業の株は売られるため株価の下落要因になります。
株価が下がれば、資金調達力の低下を招いたり、他社からの買収提案やアクティビストによる株式取得の対象になったりする可能性も高まるため、企業としては、簡単に引き下がるわけにはいかないのです。
TOPIX銘柄としての継続が視野に入っていた東陽テクニカでしたが、思わぬ誤算がありました。空前のAI相場で、半導体事業などを展開する大型株の株価が軒並み急騰したのです。その結果、「採用ライン」も押し上げられました。
見直し後の構成銘柄数は、東証では3月末時点に約1050社と見込んでいましたが、ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員が6月末時点で試算したところ、900社台まで減少していました。
会社でもTOPIXに残るために必要な株価を改めて推計した結果、3490円まで跳ね上がっていました。
高野俊也社長「もう少しで手が届きそうなところまで来ていたが、上位銘柄の株価が一気に上がってしまい、自社単独ではやりようがなくなってしまった。今回の採用は難しくても、企業価値を上げて次の採用を目指したい」
今回の改革について、ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は、次のように話しています。
ニッセイ基礎研究所 森下千鶴研究員「TOPIXは、上場企業全体の状況を反映する指数から、より市場からの評価が高い企業を選ぶ指数に転換する。その結果、企業の間で株価や市場からの評価を意識した動きが今まで以上に広がり、競争が活発になることで、市場全体の新陳代謝が促される」
銘柄の入れ替えは、ことし10月から2年間かけて段階的に行われるため、劇的に値動きが変化するわけではありませんが、機関投資家からは、成長性の高い銘柄が厳選され、投資しやすい指数になるという歓迎の声が聞かれます。
企業からは、時間的猶予が足りないという声も聞かれますが、銘柄の入れ替えは1年に1回行われるため、たとえ一度外れたとしても、復活することができます。
また、プライム市場以外からも選ばれるようになり、スタンダード市場やグロース市場に上場する企業も構成銘柄として採用される可能性があります。
日々、流れる株価のニュース。
値上がり、値下がりといった株価そのものの動向だけでなく、まもなく行われるTOPIXの見直しが、企業価値を高め市場の魅力を高める効果を生み出すことができるのかも注目されます。

情報源: NHK NEWS WEB
https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260818de44704
本動画は要約・音声読み上げによる非公式のニュース紹介です。

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