【塩入清香】新人議員が「370兆円は何に使うのか」と聞いたら…政府が「国と企業で投資する」と言った中身は、何にも投資していなかった【参政党/日本成長戦略/牧野俊一】

Kato Yusuke
リアクション
2026年08月10日
【塩入清香】新人議員が「370兆円は何に使うのか」と聞いたら…政府が「国と企業で投資する」と言った中身は、何にも投資していなかった【参政党/日本成長戦略/牧野俊一】.
【まさかの答弁】「政策がなくてもやる投資も入り得ます」370兆円の中身を聞いたら内閣官房がこう認めた…新しいお金はいくら【塩入清香/牧野俊一/日本成長戦略】

2026年7月16日の参議院財政金融委員会。参政党の塩入清香議員が内閣官房に問うたのは、日本成長戦略が掲げる官民370兆円投資のうち政府自身はいくら出すのか、という一点でした。返ってきたのは「今後の予算編成に予断を与えないためにも、その具体的な額のお答えは差し控えさせていただいております」。塩入議員は、370兆円は単年度で約25兆円、すでにある公的固定資本形成は年約27兆円だとして、数え直しでは新たな投資需要は生まれないと指摘します。そしてその前日、7月15日の衆議院経済産業委員会。牧野俊一議員の同じ問いに、内閣官房は「政策的な措置がなくても実施される投資というのも含まれ得る」「厳密に切り分けることは非常に困難」と答えていました。内訳はAI半導体101.6兆円。劣化が進む下水道の更新まで数に入るのではないかとも問われています。衆参二日間のやり取りを、用語解説とオリジナルのまとめ解説つきでお届けします。

【目次】
00:00 ダイジェスト|「政策がなくてもやる投資も入り得ます」
00:29 370兆円は1年あたり25兆円――重要なのは「官」
01:16 内閣官房「具体的な額のお答えは差し控える」
02:06 すでにある27兆円と被っていないか
03:11 再答弁――それでも額は示されない
04:24 【前日の衆議院】同じ370兆円が問われていた
06:06 政府「政策がなくても実施される投資も含まれ得る」
06:54 「おおよその想定はつくはず」内訳はAI半導体101.6兆円
08:35 劣化した下水道の更新まで数に入っている
09:11 政府の反論「過小評価しているものではない」
09:43 【参議院へ戻る】では地方はいくら払うのか
11:37 「答えがすごく短いわりに前段が長かった」
12:18 まとめ解説

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【用語の解説】

★塩入清香(しおいり さやか)
参政党所属の参議院議員。2026年7月16日の参議院財政金融委員会で、日本成長戦略の官民投資370兆円について質疑に立った。同委員会では相続税をめぐる質疑も行っている。

★牧野俊一(まきの しゅんいち)
参政党所属の衆議院議員。2026年7月15日の衆議院経済産業委員会で、13時38分から42分間にわたり質疑に立ち、日本成長戦略の官民投資370兆円の内訳と、予算の要求上限のあり方を取り上げた。

★骨太の方針
正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」。政府が経済財政諮問会議での議論を経てまとめる、経済と財政運営の基本方針で、翌年度の予算編成の土台になる。この質疑が行われた2026年7月16日の時点では、2026年版はまだ原案の段階だった。

★日本成長戦略
高市内閣が骨太の方針とあわせて策定を進めた成長戦略。17の戦略分野を定め、そこからさらに62の主要な製品・技術等を選び、それぞれに政策パッケージと投資額の見通しを示す「官民投資ロードマップ」を作る構成になっている。

★戦略17分野
日本成長戦略で重点的に育成すると位置づけられた17の産業分野。AI半導体、クラウド・データセンター、蓄電池、次世代ワイヤレス技術、バイオ・創薬、ゲーム、防衛産業、航空宇宙、海洋・造船、防災・国土強靱化、交通インフラなどが含まれる。

★62の主要な製品技術等
17の戦略分野の中から、国内のリスク低減の必要性、海外市場の獲得の可能性、関係技術の革新性といった観点でさらに選び込んだ62の製品・技術等。内閣官房はこの62品目ごとに政策パッケージを示したうえで、必要となる官民投資額を主要な企業・団体へのヒアリングなどで算出したと説明している。

★官民投資
国や地方公共団体が出すお金(官)と、民間企業が出すお金(民)を合わせた投資のこと。日本成長戦略が掲げる370兆円超は両者の合計額であり、このうち政府分がいくらかは、この質疑の時点では示されていない。

★官民投資370兆円超
日本成長戦略が掲げる、戦略17分野への2040年度までの官民投資の総額。塩入議員は今後15年で単純に割って1年あたりおよそ25兆円規模とし、牧野議員は来年度から2040年度までの年平均を26.4兆円、全額が新たな資金需要になるなら名目GDPを650兆円とした場合の約4%相当と述べている。

★公的固定資本形成
国や地方公共団体などが、道路・橋・港湾・上下水道といった社会資本を新たに造ったり造り替えたりするために支出するお金。塩入議員は内閣府のGDP速報をもとに、2025年の地方公共団体等の公的固定資本形成は年間約27兆円だと述べ、370兆円の単年度換算である約25兆円と近い規模であることを指摘した。

★数え直しではないかという指摘
塩入議員は「仮にこの年間約25兆円の投資が、現在すでに行われている約27兆円の公的固定資本形成や、あるいは既存の民間設備投資を名称上、戦略17分野への投資として数え直すという形であるならば、新たな投資需要を生み出す政策とは言えないと思うんです」と述べた。これは同議員の指摘であり、政府がそう認めたわけではない。

★予算編成に予断を与えない
国会答弁でよく使われる言い回しで、この段階で具体的な数字を示すと、これから行う予算編成の判断を先取りして縛ってしまう、という意味。今回、内閣官房はこの理由を明示したうえで具体的な額の答弁を控えており、金額を出さないと述べたわけではない。

★ヒアリングによる算出
内閣官房は、62の製品・技術等ごとに政策パッケージを提示したうえで、必要となる官民投資額を主要な企業・団体へのヒアリングなどによって算出したと説明している。投資予定が明確でない将来については、市場や投資の伸び率の傾向を用い、一定の機械的な前提を置いて算出しているとされる。

★政府最終消費支出
政府が行政サービスを提供するために使う経常的な支出で、施設を造る費用である公的固定資本形成とは区別して集計される。内閣官房は、官の投資には公的固定資本形成のほかに、民間投資への補助金や政府最終消費支出など様々な形態があり得ると答弁した。

★政策がなくても実施される投資
内閣官房は7月15日の衆議院経済産業委員会で、官民投資額として算定した想定額には「政策的な措置がなくても実施される投資というのも含まれ得る」と述べた。ただし、その額は個々の企業の経営判断によって異なるため、どこまでが政策によって追加的に誘発された投資なのかを厳密に切り分けることは非常に困難だとも説明している。政府が認めたのは「含まれ得る」「切り分けは困難」までで、数え直しだと認めたわけではない。

★追加的に誘発される投資
牧野議員は「370兆円のうち、既に民間企業が予定している投資を単に足し上げた部分と、政府の新たな政策によって追加的に誘発される部分という想定を分けて提示すべきではないか」と質した。この二つを分けなければ、政策そのものの効果を測ることができないという問題意識に基づく指摘である。

★呼び水
ポンプから水を汲み上げるために先に少量の水を注ぐことになぞらえた言い方で、政府が先に支出することで民間の投資を引き出す効果を指す。牧野議員は「政府が一歩前に出ると書いてある以上、民間任せではなくて政府自身がどれだけ呼び水として投資をするのかということが非常に重要になってくる」と述べた。

★AI半導体
人工知能の学習や推論に使われる高性能な半導体。牧野議員が示した内訳では、AI半導体が101.6兆円と最も大きく、クラウド・データセンター・蓄電池が32.7兆円、次世代ワイヤレス技術が20.5兆円、バイオ・創薬が合わせて40.8兆円、ゲーム分野が24.5兆円とされている。

★次世代先端加速器
素粒子や物質の構造を調べるために粒子を加速させる大型の研究施設。牧野議員は、防衛産業、航空宇宙、海洋・造船、防災・国土強靱化、交通インフラ、次世代先端加速器といった、政府が需要をつくることで初めて民間投資が本格化する分野の投資額が、相対的に小さく見えると指摘した。

★下水道の更新
牧野議員は、既に市場が見えている分野ほど投資額が大きく出る算出方法だと、政府調達や公共インフラ、全国で劣化が進んでいる下水道の更新なども含まれることになり、政府の支出が先にないと民間投資が出にくい分野が比較的に過小評価されるのではないかと懸念を示した。これは同議員の指摘である。

★政府側の言い分
内閣官房は、62の区分は国内のリスク低減の必要性や海外市場の獲得の可能性などの観点でもともと選定したものであり、分野ごとに区分の捉え方や大きさが異なること、研究開発段階か実証段階か量産化段階かという発展ステージが異なることなど様々な要因が背景にあると説明し、「特定の分野につきまして過小評価しているというものではない」と述べた。

★積極財政
財政赤字を許容してでも政府支出を増やし、需要をつくって経済成長を促すべきだという立場。参政党が掲げている方針で、塩入議員は政府の純然たる財政出動がどのくらいになるのかが、積極財政にかなっているかどうかを見るうえで重要だと述べた。

★産業クラスター
特定の産業に関わる企業・研究機関・関連事業者を一つの地域に集積させる考え方。地域未来戦略では、大規模投資を起点とする産業クラスター計画、都道府県が主体となる地域産業クラスター計画、市町村等による地場産業成長プランの三つの類型で進めるとされている。

★地域未来戦略
強い地域経済の構築を目的として政府が進める戦略。内閣官房 地域未来戦略本部事務局が所管し、成長戦略の17の戦略分野に関連する企業の大規模投資を起点とした産業クラスター計画などを推進するとしている。

★補助裏
国庫補助事業のうち、国の補助金では賄われず地方公共団体が負担する部分を指す言い方。塩入議員は、総事業費が1億円であれば国の負担は5000万円で、残る5000万円は自治体の負担になると説明した。

★借換債
償還期限が来た国債を返すために新たに発行する国債。塩入議員は、国は国債を発行してもその償還を税金ではなく借換債で賄うことができる一方、地方の負担分は地方債を充当して財源を賄うことはできてもその償還は税金で行うことになるため、地方には純然たる借金が残ってしまうと指摘した。

★地方交付税措置
地方公共団体の財政負担の一部を、国が交付する地方交付税の算定に織り込むことで実質的に補う仕組み。塩入議員は、国庫補助率の引上げ、地方負担率の引下げ、地方交付税の措置、地方債の元利償還金に対する交付税措置など、通常の事業とは異なる財政支援を設ける必要があると求めた。

【引用】※ルールを遵守して制作しております

■衆議院インターネット審議中継:https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
■参議院インターネット審議中継:https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

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