対外純資産561兆円は過去最高で世界3位 日経平均が26%上がった年に価格要因で19兆円減っていた

株りこの倍々株採掘所
リアクション
2026年08月29日
日本の対外純資産は2025年末で561兆7,504億円。7年連続で過去最高を更新しながら、順位は世界3位に落ちました。1位はドイツの675兆5,374億円、2位は中国の636兆3,391億円です。日本は1991年から2023年まで33年間1位でしたが、2024年末にドイツ、2025年末に中国に抜かれました。この動画は「対外純資産」という言葉の中身を、財務省の本邦対外資産負債残高の表を1枚ずつ開いて確かめる保存版です。引き算の答えだけでなく、両側の数字を見ます。

対外純資産は、日本の居住者が外国に持つ資産1,805兆6,342億円から、外国の居住者が日本に持つ資産1,243兆8,838億円を引いた差です。資産の中身は証券投資768兆円、直接投資384兆円、その他投資373兆円、外貨準備213兆円、金融派生商品65兆円。政府と日銀の外貨準備は資産全体の11.8パーセントにすぎず、88パーセントは企業・金融機関・投資信託・個人が持っています。負債側では外国人が持つ日本の株式が406兆円で、負債全体の32.7パーセントです。

芯は財務省の「増減要因(試算)」です。2025年の純資産の増加23兆6,500億円を分けると、取引によるものがプラス29兆6,840億円、為替相場の変動がプラス13兆4,220億円、そして株価や債券価格などの調整がマイナス19兆4,560億円でした。日経平均株価が3万9,894円から5万339円へ26.2パーセント上がった年に、価格要因はマイナスです。日本人が持つ外国株は価格上昇で47兆7,770億円増えましたが、外国人が持つ日本株は61兆6,830億円増えました。海外投資家の日本株は334兆円から406兆円へ71兆円増え、そのうち新しく買った分は8兆円で、残りは値上がりです。日本株が上がると、外国人の持ち分が膨らみ、それは日本の負債として数えられます。米国でも同じで、2025年の米国の対外負債は8兆2,400億ドル増え、うち6兆3,000億ドルが価格上昇でした。

為替の算数も置きます。財務省の注記によれば、対外資産1,805.6兆円のうち1,350.7兆円が外貨建て、対外負債1,243.9兆円のうち284.9兆円が外貨建て。差の1,065兆円が円相場で動く部分で、ドル円が1円動くと6兆8,200億円動きます。2025年はドル円が156円99銭から156円41銭へほとんど動かず、ユーロ円が163円39銭から183円72銭へ12.4パーセントのユーロ高でした。ドイツ連邦銀行の統計でドイツの純資産をユーロで見ると、3兆4,727億ユーロから3兆6,778億ユーロへ5.9パーセントの伸びです。財務省の円換算では18.6パーセント。ドイツの純資産を1年前のユーロ円で換算すると600兆9,000億円で、日本との差は39兆円に縮みます。実際の差113兆7,870億円のうち74兆6,000億円、65.6パーセントはユーロが円に対して上がった分です。中国は国家外貨管理局の公表値でドル建てでも23.5パーセント増え、対外資産11兆7,860億ドルのうち31.8パーセントを外貨準備として国家が持っています。

対外純資産が円安の防波堤になるという言い方が成り立つ条件も資料で確かめます。第一次所得収支は2025年に41兆8,201億円で過去最高ですが、直接投資収益26兆円のうち再投資収益11兆2,000億円は外貨のまま海外に残り、円には換えられていません。経常収支は32兆2,350億円の黒字で2年連続の過去最高ですが、貿易収支は5,677億円の赤字、サービス収支は3兆4,431億円の赤字で、黒字は全部が所得収支から来ています。財務省の30年の時系列では、1996年から2010年の貿易収支の合計はプラス169兆9,000億円、2011年から2025年はマイナス33兆9,000億円。所得収支は同じ区切りで152兆円から369兆円へ2.4倍になり、2005年に所得が貿易を上回って以来、逆転したままです。そして2013年末から2025年末の12年で、経常黒字の累計236兆3,000億円と対外純資産の増加236兆円がほぼ一致します。短い期間は為替が支配し、長い期間は経常黒字だけが残る。2019年末からの6年では差の約72兆円が円安の上乗せでした。

最後に、この仕組みの中で数字がどう動くかを3つ置きます。ドル円が10円円高になれば円換算で68兆2,000億円減り、日本株がさらに10パーセント上がれば海外投資家の持ち分が40兆円増えて純資産を押し下げ、経常収支が赤字になれば取引で積み上がる部分がなくなります。2025年の名目GDP662兆7,885億円に対して対外純資産は84.8パーセント、ドイツは80パーセントから86パーセントで、経済の大きさに対する比率ではほぼ同じです。国民ひとりあたり456万円。対外純資産が増えるニュースと減るニュース、どちらを見たときも、引き算の両側を思い出してもらえたらと思います。ぜひ最後までご覧ください。

📌 取り上げた主なデータ
本邦対外資産負債残高(財務省・2025年末) / 増減要因(試算) / 地域別・円外貨別残高 / 国際収支統計(1996〜2025年) / ドイツ連邦銀行 対外資産負債 / 中国国家外貨管理局 国際投資ポジション / 米国商務省 国際投資ポジション

⚠️ 投資は自己責任でお願いします。本動画は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は各機関の公表値に基づく参考値です。ご自身でも原表をご確認ください。

#対外純資産 #財務省 #経常収支 #第一次所得収支 #円安 #ドル円 #ユーロ円 #ドイツ #中国 #外貨準備 #直接投資 #海外投資家 #日経平均 #マクロ経済 #日本株 #株式投資